●カリジェとウルスリの鈴9

Am+BachPG_convert_20110730104251_20110730105134.jpg
クール市内にカリジェが住んだAm Bach付近
クール市内の会議場に、カリジェの大きな絵があることを聞いていたのですが、安野先生も私も早くカリジェの絵の背景の景色を探し当てたくて、先生の運転で早々と町から繰り出しました。安野先生は、こうした誰かにちなむ場所の探索がお好きなようで、ベルン滞在中には、郊外のパウル・クレーの生まれた場所というところへ車を走らせましたっけ!結局なんとなく納得した、という程度で戻りましたが、クールでも、カリジェが一時住んでいたアトリエ付近を一巡し、フムフムと言っただけであとは二人ともすっかり忘れてしまいました。

郊外では、カリジェの絵に登場する、LadirとかTrin、Siatなどの小さな村を次々に訪ねました。絵と景色を見比べながら、「うん、こっちだ」と教会をぐるっと逆回りしてみたり、まるで謎解きをする子供と言った風情です。
確認してどうするの?といわれればそれまでですが、私も先生も夢中になって夜になるまで縦横に走りまわりました。


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カリジェの絵に登場するTrinの村

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やはり絵に描いているLadirの村。どの村にも中心に教会の塔があって、どこか似ている。

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●カリジェとウルスリの鈴8



「ホテル・シュテルン(星)」があるクールの町は、スイス最古の五千年の歴史を持つといわれます。スイスの原住民はケルト族ですが、このグリゾン地方はそのうちのラエティアという部族が住む地方でした。氷河特急の運営会社の一つであるレーティッシュ鉄道の名前はここから出ているようですね。レーティッシュ鉄道は、箱根登山鉄道と姉妹提携を結んでいます。
ローマ帝国に征服されたあと、ゲルマン民族の移動に巻き込まれずに残ったため、この地方にはイタリアの影響が独特な形で残ります。言葉の化石と呼ばれるスイスの第4の国語であるロマンシュ語や、スグラフィッティという独特の家の紋様などがそれで、クールよりさらに奥に入ったエンガディンの谷に多くのスグラフィッティ紋様の家々が見られます。
クールの町は、カテドラルを取り囲む一角が独特の色彩感でたたずみ、それをなだらかなブドウ畑が取り囲んでいます。町の案内には、舗道に赤と緑の足跡を描いて、ガイド代わりにしていました。いまでもあるのかなあ、と思いますが、その足跡の歩幅が広すぎて、ピョンピョン飛ばないと付いていかれなかったことなど、思い出されます。

(今回の写真は、数年前にカリジェの旅を楽しまれた三宅文子さんの提供です)

IMGP2554_convert_20110728103116.jpgホテルの内の装飾もスグラフィッティ風

IMGP2559_convert_20110728103002.jpgスイス人は旗が大好き。手前がクールの町旗、中央はスイス国旗、一番奥はグリゾン(グラウビュンデン)州の州旗



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●カリジェとウルスリの鈴7

チューリヒ市内や北の町にも、カリジェの壁画などが残っていることは調べがついていましたが、私たちは一刻も早く、本当のカリジェに会いたいような気分にかられていたのでしょうか、一路南への道をとって、クールという町へ向かいました。ここは観光で有名な氷河特急の発着地点で、古くからの司教座がある歴史的な町です。この町の、あるホテルに、カリジェの絵や写真が沢山残っているという情報を入ったのです。リヒテンシュタインの端っこをかすめ、ハイジのお話のふるさとマイエンフェルトもすっ飛ばして、我々は一路、クールにある、ホテル『シュテルン』を目指しました。

ホテルシュテ0006_convert_20110722101402ホテル「シュテルン」の2階にあるカリジェ・ステューベの看板
ホテルシュテ0005_convert_20110722101333当時の支配人エミール・フィスターさん

このホテルのオーナーのエミール・フィスター氏は、私たちの顔を見るなり2階の「カリジェ・ステューベ」に連れていきました。そこにはカリジェの作品だけでなく、カリジェが実際にこの部屋を訪れたときの写真や、フィスター氏と並んで撮った写真などが並べられていました。フィスター氏は、カリジェと大の仲良しだったのです。2階全体をカリジェに捧げるスペースとして惜しげもなく使い、そのグリゾン風の装飾は、当然のことながらこの地の出身であるカリジェの作品にしっくりとけ込んでいました。

ホテルシュテ0004_convert_20110722101306カリジェ・ステューベにはいってくるカリジェ本人

ホテルシュテ0003_convert_20110722101236カリジェとフィスターさん

ホテルシュテ0001_convert_20110721222338有名な鷹と男の絵

ホテルシュテ0002_convert_201107221012012人の後ろの絵




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●カリジェとウルスリの鈴6

フェレイ宅_convert_20110717125552左からフェレイ氏、安野先生、セレスティーヌさん、著作権協会の方

安野先生のお伴をして最初に訪れたのは、チューリヒ湖畔にある、沢山のカリジェのリトグラフを持っているというフェレイさんのお宅で、 日本著作権輸出協会の方も同伴されました。行ってみて判ったのですが、フェレイさんというのは、カリジェの長女、セレスティーヌさんの夫で、所蔵しているのは情報通りリトグラフばかりでした。近くの絵の倉庫にまで案内されて、「なんか商売っ気たっぷりだねえ」と、ちょっと出鼻をくじかれた格好で退散しました。たしかキュスナハットという、通称チューリヒ湖のゴールドコーストと呼ばれる、太陽が一杯の湖岸の町だったと思います。
お嬢さんは絵を教えておられ、もう1人のお嬢さんが、スイス南部のルガノ近くにお住まいと聞きました。ここで著作権協会の方は帰国され、いよいよ安野先生運転のス~イスイ、スイス旅行の開始です。


フェレイ宅0001_convert_20110717125631 カリジェのリトのひとつ

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●カリジェとウルスリの鈴5

さて、アロイス・カリジェの3つの活動のうち、日本に最初に紹介されたのは、このように絵本作家としての名声だったわけです。でもカリジェと同じアンデルセン賞を受賞された安野光雅先生は、絵本より彼の自然画家としての側面に興味を持たれたのでしょう。ともかくカリジェの描いた様々な絵の現場に立ってみたいという強い要望をお持ちでした。
そこで私はカリジェの作品を片っ端から並べ、そこに地名が出てくるものを次々にスイス地図の上に記していき、それを実際に訪ねてみる、という旅をご用意したのです。私はナビゲーター役です。先生はレンタカーの運転は全然苦にならないご様子で、ス~イ,スイ。「マーラーの音楽が不思議とドライブに合うんだよねえ」といつもご機嫌で、野越え、山越え、運転してくださいました。1991年の春のことです。


スイスの谷_convert_20110712195833
朝日新聞社 1990年10月第1刷発刊

車中ではいろんなお話をして実に楽しかったですねえ。先生はすでに、「イタリアの丘」「フランスの道」「イギリスの村」など、シリーズで朝日新聞社から出版しておられたのですが、スイスだったら絶対「スイスの谷」にしましょうよ、というと、先生は「そうだね、スイスだったら谷だよね」とおっしゃいました。でももうその時には、「スイスの谷」は刊行済みだったのです。きっと私が得意げに言うのを見て言葉を合わせてくださったのだと、今頃になって先生の優しさを再発見です

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●カリジェとウルスリの鈴4

岩波のシリ-ズのうち、私の手元にあるのは、1篇目の「ウルスリの鈴」と2篇目の『フルリーナと山の鳥』が合冊になった『アルプスのきょうだい』で、なんと1954年第1刷の、1978年17刷り380円也です。
フルリーナというのは,ウルスリの妹です。


アルプスのき_convert_20110707121456

6冊の絵本のうち、はじめの3冊は、カリジェは絵だけを描きました。
文章は、友人でもあったゼリナ・ヘンツという女流作家が書いたものです。
ですから、安野先生のおっしゃるウルスリ少年の「男の子の心理」は,女性が書いたものなのです。
先生が、私の方を向いては、女の人でもこういう心理がわかるのかなあ、と繰り返しおっしゃったのを、これまた懐かしく思い出します。

ゼリナ・ヘンツは、エンガディン地方のグアルダという美しい村の出身で、カリジェはもちろんこの村を訪れて絵を書きました。

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●カリジェとウルスリの鈴3

ウルスリの3枚の絵はがきが示すお話の筋は、原本にある下記の説明文で
ご想像頂けるでしょうか?


チャランダマ0001_convert_20110704100838


・・・スイスのエンガディンという山ばかりの地方では、夏の間、家畜が首にカウベルをつけられて、山の放牧地の草を食べて生きています。冬になって麓の家畜小屋で暮らすようになると、この鈴ははずしてしまっておきます。
3月になって冬が終わると、春の祭り「チャランダマルツ」がやって来て、寒くて暗かった冬の日の終わりを告げるように、村中の鈴が鳴り響きます。村の男の子たちは、ありったけ大きな鈴を自分の首に下げて、村中の通りを行列してのし歩きます。
冬を追い払って、お日様いっぱいの輝く春を歓迎しようというわけです。
でも大きな鈴を首にかけることができるのは、大きな子ばっかりで、小さい子は、仔牛用の小さな鈴をつけて,行列のしっぽについてあるくのがせいぜいです。
 これは、春の祭りが来たとき、今年こそおっきな鈴をつけてみせるぞと決心した、ウルスリという男の子の冒険物語です。・・・

安野先生は、自分には大きな鈴がないウルスリ少年が、危険も忘れてひとりで山小屋まで上って大きなカウベルを下ろしてきて、意気揚々とチャランダ・マルツの祭りに参加する、その男の子の心意気が、「僕、わかるんだよな~~」と言っておられたのを,今思い出しました

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● カリジェとウルスリの鈴2

カリジェの絵ってどんなかなあ?と楽しみにしてくださって居る方もおられるようなので、まず代表的な絵をご紹介。

Caligiet葉書_convert_20110702112500
©Orell Füssli Verlag, Zurich

では、表題に出てくるウルスリとは何?誰?でしょうか?
彼はカリジェの絵本に出てくる主人公の少年です。スイスでは桃太郎さんか鉄腕アトムみたいに人気があって、あちこちのキャラクターに使われています。
版権に気をつけなくては!?
カリジェは、前半生を有名なポスター作家として、後半生を故郷に隠遁して自然と動物を相手にした自然画家と言う風に、2つの時期に分けられています。しかし私は、もうひとつ、後半生に彼の絵本作家としての人生を同格に置きたいのです。
ウルスリは、カリジェが絵を書いた6冊の絵本の第1号、『ウルスリの鈴』の主人公です。この6冊の本はすべて岩波書店から日本語で発行されています。

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ハイジおばさん

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スイスとのおつきあいは、スイス政府観光局から始まって、もうかれこれ40年。まだまだ奥深いスイスの魅力を追いかけています。hpもどうぞご覧下さい。
www.office-romandie.info/

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