●スイスのワイン9
●スイスのワイン8


働く人たちの中で一番美しい目をしているのは、日本の漁師さんと、スイスのブドウ作り人じゃないかなあ、といつも感じます。

ブドウ作り人には、オタクが多いかも?
ともかく一途、こよなくブドウとワイン作りを愛して、他のことには目が向かないという風情です。親子で継承する家族、兄弟で手広く栽培する農家など、どの人に聞いてもひたすら、ブドウ作りの仕事を愛しているようです。 ある青年ブドウ作り人に、「その若さでブドウ作りは地味すぎない?」と聞いてみたら、夜、独りブドウ畑に出て見上げる星空が素晴らしいんだ、と浸りきった様子で言っていましたっけ。


樽に絵を描く人、ワインラベルを自分でデザインする芸術家はだしの人も・・・。若手は凝りに凝ったホームページなども拵えています。

これは手作りの木彫りの人形です。ブドウの古木を見つめて、手にはしっかりワイングラスが・・・。
●スイスのワイン7



世界遺産ラヴォー地区の秋のブドウ畑。湖畔の村はヴィレット(Villette).
スイスでは、ヴァレー地方に次ぐワインの産地が、ヴォー(レマン湖)地方です。こちらの段状の壮大なブドウ畑の一群は、2007年に世界文化遺産に指定されました。
ここでは、生産村の名前がそのままAOC(原産地統制名称),いわば銘柄になっていて、その上にそれぞれのワインの名前が付きます。そして、その70%がシャスラ種のブドウを使った白ワインです。

ヴィレット村アランで、ショレ親子が作ったバロン・ヌワールというピノヌワール種の赤ワインのラベル
簡単にいえば、白ワインを生産村ごとの微妙な味で区別しながら選ぶのが、ヴォー地方のワインの選びかたの特徴なのですが、私たちよそ者には名前など覚えきれません。
そこで前に飲んだことがあるおいしいワインの名前か、聞いたことのある村の名前を当てずっぽうに言って済ませるのがオチです。それでもこの地方のワインには当たり外れがありません。

エペッス村のライオン印?のワイン(ドイツ語圏出身の人が作っているらしい)
●スイスのワイン6


日本でも伏見の酒がいいとか、灘がいいとか、まず大まかに地方でえらぶことがありますよね。スイスでもちょっと似ています。
スイスのワインの2大生産地は、ヴァレー(スイスの西南部で、マッターホルンの周辺)とヴォー(レマン湖の北岸)の2つで、選ぶときは、どちらの地方のワインにするかをまず考えるのは一つのコツでしょう。
そこで、ヴァレー地方のワインの特徴はというと:


まず、ドールDôle(赤)とファンダンFendant(白)というスイスではもっともポピュラーな2大銘柄がヴァレー地方の特産で、これはどちらも芸名です。(日本で言うと、澤の鶴とか黄桜と言った感じかもしれません)。
ドールは、本名はガメーとピノヌワールで、この混淆の赤です。
ファンダンは、本名シャスラ種のブドウで作る、まろやかな白です。
この地方で(おそらくスイス中で)この2つの種類のワインを置いていない所はなく、ハウスワインは圧倒的にこの2つの銘柄のワインですから、ボトルを選ぶのが面倒なら、まずこの2種の赤か白がおすすめです。

ヴァレー地方の一大ワイン生産地シオンの風景。左の川はローヌ河です。
ヴァレー地方のワインのもう一つの特徴は、この2種以外に、実に沢山の種類のブドウを使ってワインを作っていることで、古来の品種や珍しい品種もあり、愛好家を惹き付けます。しかし日本人の舌では区別できるようになるには、沢山の品種を何回も飲まなければならないでしょう。
白でファンダンは飽きたという面々には、リースリング、エルミタージュ、プティット・アルヴィーヌ、アミーニュ、マルヴォワーズ,ドール・ブランシュなど沢山のチョイスがあります。
赤のユマーニュ・ルージュ、シラ、コルナランなども絶品です。
●スイスのワイン4


ボジョレー・ヌーボーの季節が近づいてきました。
ご存知ボジョレーとはフランスのあるワイン生産村の名前で、使われている樹種は、ガメーです。言ってみれば、ガメーが本名で、ボジョレーは出身地を入れた芸名みたいなものです。
このガメー(GAMAY)というブドウはスイスの赤ワインでは非常に多く使われていて、ヌーボーに見られるように早いうちに飲んだ方がおいしいのです。
スイスの赤ワインで, ガメーと並んで最も多く使われている樹種はピノ・ヌワール(PINOT NOIR)です。
一方、スイスの白ワインで圧倒的に多く使われているのが、シャスラ種のブドウ(CHASSELAS)です。これもごく若いうちに(早いうちに)飲むとおいしい種類のワインになります。
この3つがスイスワインの3大本名(樹種)です。
しかしラベルを見ると、本名だけのもの、芸名だけのものだけでなく、どちらも書いてなくて、地名を見れば判るだろう、といわんばかりのものもあるのですから、困ったものです。

これはジュネーブ産のワインのラベルのひとつ。「ペシー村のガメー」という銘柄で、作り手がペリエールというワイン農家。作り手の名前がロシェーさん、というまるで戸籍謄本のような判りやすいラベルですね。

一方こちらは、格式高いキュイイー村のワイナリーのラベル。
素敵なのが取り柄で、判らないところが魅力倍増?
●スイスのワイン3



こんな偉丈夫が作ったワインなら安心して飲めちゃいそう!
うしろのパネルにはガメイ種のブドウ。
さて、ワインを選ぶのに樹種だけで選べるか?というとそうでもないので困ります。
ラベルにガメイとか、ピノ・ヌワール、とかシャスラと書いてない場合も多いからです。
その理由には、2つの種類が混ぜたワインである場合があることと、逆に産地の村の名前を言えば、使っている樹種は自動的に判る筈だと言う、作り手の側の一種の自負があるから、のように思います。
どちらもある程度の予備知識が必要になるわけで、これが身について初めてワイン選びが可能です。まるで数独で、縦横から類推して行って、最後にひとつに落ち着ける、そのスリルが紳士方には魅力でもあり、苦痛でもあるのかもしれません。
女子供と言ったら差別用語でしょうが、そんなに頭を悩ませないでも選べる方法を是非開発してもらいたいものですね。
次回から、ハイジおばさんの無手勝流、産地別、樹種別などの、縦横のアタック法に挑戦してみますが、うまく行きますかどうかお楽しみに???
(ついでに、スイスでは数独がとっても盛ん。電車に乗れば、1車両に2~3人はやってます)。

このブドウからこのワインが出来ました!という説明会の会場で。
試飲もさせてくれるから判りやすかったけど、レストランではこうはいきません
●スイスのワイン2


スイスのワインは若いうちに飲む、と書いたあとで、
「えーっ、スイスのワインは年寄りは飲めないの?」と言われたことがあったのを思い出しました。
失礼、失礼!若いうちにというのは、ワインが若いうちという意味で、飲み手の年には関係ありませんので、ご了解ください。

ワインのラベルは芸術品! かなり作り手の思い入れが強そう。
ワインは一般に古いほど良い、というのが通念になっていますが、スイスに限って、それは当てはまりません。スイスのワインに使われるブドウは、いずれもワインにしてから、白なら1~2年、赤でも5年以内に飲むのが良い種類のブドウを使っているからです。

こんなに書き込まれると、字引がないとワインも飲めない?
ガメーやピノヌワール、シャスラなどのブドウの種類はスイスの土壌に良く合っているから採用されているわけで、従って飲むワインは若いうちに!となり、ワインの宿命は、樹種と土壌の結合物以外のなにものでもない、ということが、スイスのワインで良くわかります
●スイスのワイン1


ワインは日本酒に似ているなあ、と思うことがあります。
作り方よりは、飲み方についてなのですが・・・。

ボヴィーさん一家が作ったワインがずらり
東西共通の会話!
「どこのお酒にする?」(ワインも同じ)
「甘口、辛口、どっちにする?」(ワインも同様)
「料理がこれだから、今日はこれこれにしよう」
そして詳しい人なら、ブドウの品種(日本ならお米の種類)を問題にし、いつ瓶詰めされたか?(ワインなら必ず見る)と来て、究極の質問はどの村で取れたブドウか?
ヨーロッパでは、ワイン選びは紳士がたの特権ならびに義務ですね。ディナーの席でワインのカルテを見ながら、判っても判らなくとも、フムフムと決断するのは紳士のマナーです。
でもスイスワインなら紳士方もやや安心!
何故なら!
スイスのワインは若いうちに飲む!つまり年数はあまり関係ない。
あとはブドウの品種がかなりの問題、そして詳しくはどこの誰の畑で取れたか?に関心が向きます。
時節柄、ワインの、それもスイスだけのワインの話題にしばらく挑戦してみたいと思います。
●スイスのライン河
ライン河ならドイツ!とお思いでしょうが、ラインの源流はスイスアルプスにあり、全長の約1/4はスイス国内を流れています。
そのライン河の源流は2つあって、その一つの前ラインと呼ばれる源流のトマ湖は、カリジェの生地のトルンからさほど遠くなく、氷河特急駅のオーバーラルプ駅から、片道3時間ほどのハイキングで行けます。写真のようにすり鉢状の小さな池のようなトマ湖から流れ出す源流は、足の長い人なら両岸に足を広げて立つ事もできる幅です。それがオランダで北海に注ぐときは数百メートルの広さになっているのです。(ライン河には滝がひとつしかない、とウイキペディアに書かれていますが、源流のトマ湖から谷底の軍用道路近くへ流れ落ちる滝がもう一つあります)。

トマ湖の源流に立つ、若~~~い日のハイジおばさん(Tomasee, Lai de Tuma 2343mの標識が見える)
この2つのラインがライヒェナウという場所で合流し、その様子は氷河特急の車窓からも見る事ができます。一本になったライン河は、クールの町はずれを抜けて、ハイジのお話のふるさとのマイエンフェルトや、リヒテンシュタインをかすめ、オーストリアと国境を分かつコンスタンス湖(ボーデン湖)に入り、再び流れ出て、カリジェの壁画があるシュタイン・アム・ラインや、シャフハウゼンの城塞を見上げながら、ラインの滝で瀑布となり、次第に幅を広げて国境の町バーゼルに至ります。ここまで源流から375キロです。

リバーラフティングが楽しめる、ライン河のグランドキャヨン。白いところは雪ではなく、崩落した石灰岩。

前ラインと後ラインの合流地点
バーゼルのライン河の突堤には、スイス・ドイツ・フランスの国境地点を表す三角地点で作られています。
スイス国内のライン河クルーズは、シュタイン・アム・ラインとシャフハウゼンの間だけで、あとは急流なのでカヌーやリバーラフティングを楽しめます。

バーゼルの国境三角地点に立つ、作家の故S.E氏
そのライン河の源流は2つあって、その一つの前ラインと呼ばれる源流のトマ湖は、カリジェの生地のトルンからさほど遠くなく、氷河特急駅のオーバーラルプ駅から、片道3時間ほどのハイキングで行けます。写真のようにすり鉢状の小さな池のようなトマ湖から流れ出す源流は、足の長い人なら両岸に足を広げて立つ事もできる幅です。それがオランダで北海に注ぐときは数百メートルの広さになっているのです。(ライン河には滝がひとつしかない、とウイキペディアに書かれていますが、源流のトマ湖から谷底の軍用道路近くへ流れ落ちる滝がもう一つあります)。

トマ湖の源流に立つ、若~~~い日のハイジおばさん(Tomasee, Lai de Tuma 2343mの標識が見える)
この2つのラインがライヒェナウという場所で合流し、その様子は氷河特急の車窓からも見る事ができます。一本になったライン河は、クールの町はずれを抜けて、ハイジのお話のふるさとのマイエンフェルトや、リヒテンシュタインをかすめ、オーストリアと国境を分かつコンスタンス湖(ボーデン湖)に入り、再び流れ出て、カリジェの壁画があるシュタイン・アム・ラインや、シャフハウゼンの城塞を見上げながら、ラインの滝で瀑布となり、次第に幅を広げて国境の町バーゼルに至ります。ここまで源流から375キロです。

リバーラフティングが楽しめる、ライン河のグランドキャヨン。白いところは雪ではなく、崩落した石灰岩。

前ラインと後ラインの合流地点
バーゼルのライン河の突堤には、スイス・ドイツ・フランスの国境地点を表す三角地点で作られています。
スイス国内のライン河クルーズは、シュタイン・アム・ラインとシャフハウゼンの間だけで、あとは急流なのでカヌーやリバーラフティングを楽しめます。

バーゼルの国境三角地点に立つ、作家の故S.E氏