● スイスの文化歴史街道ViaStoria -11

● トマスクックの道ViaCook−7 ローマの遺跡が残るマルチニー到着

シャモニーをあとに、トマスクックのツアーがやってきたのがマルチニー。グランサンベルナール峠をはさんで、イタリアのアオスタと対峙する町で、古名はオクトデュール。当然ローマ軍のスイス進撃のルートに当たり,町にはローマの円形競技場などが残り、なおも発掘が続いています。古代の通商や文化の展示と、対照的な現代アートの野外展示で知られる「ジアナダ財団」コレクションは、毎年重要な展覧会を開いて内外から客を呼ぶ点は、交通の要衝にふさわしい面目です。
photo051_convert_20130228151346.jpg              トマスクック旅行の時代には発掘されていなかったと思われるローマの遺跡。谷の奥がグランサンベルナール峠。

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   ジアナダ財団コレクションの入り口。            庭園には,ニキ・ド・サンファルやヘンリー・ムーアの彫刻などが置かれている。

ここから30キロほど南のグランサンベルナール峠は、「ナポレオンのアルプス越え」でも知られる難所、ここから生まれるセントバーナード犬は、いまでも人気です。冬は閉ざされる峠の僧院で、ながらく飼育されていましたが、環境を懸念する愛好家によって、麓のマルチニーに「セントバーナード犬博物館」が建てられ、そこで飼育されるようになりました。いまでは人命救助はセントバーナード(サンベルナールの英語読み)ではなく、シェパードによって行われています。

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グランサンベルナール峠のイタリア側頂上に立つ、ベルナール聖人の像。グランサンベルナール峠の頂上から犬と一緒に下りるグループ。何かの訓練だとのこと      


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セントバーナード犬博物館の入り口。               中に飼われているセントバーナード犬の子犬
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● スイスの文化歴史街道ViaStoria -10

■ViaCookトマスクックの道-6 スイスのマルチニーへ

さてシャモニーをあとにしたトマスクックのツアーは、深いトリアン渓谷の南側にルートを取り、フォルクラ峠を越えてスイスに入りました。現代では、トリアン川の北の斜面を走るマルチニー・シャトラール(MC)鉄道で、シャモニーからマルチニーまで国境越えの楽しい電車の旅ですが、鉄道の開通は、1931年でしたから、一行の旅はチャーター馬車に加えて,一部徒歩はラバの背にゆられての難儀なものだったようです。しかしこのルートは以来ずっと英国人旅行者に人気で、MC鉄道沿線にはファンオーとかレマレコット、トリアンなどの瀟洒な村があり、昔の繁栄ぶりを偲ばせます。

また路線上のシャトラールの上方にはフランス・スイスの共同開発によるエモッソン・ダム,麓には発電所があり、ダムまで急斜面を登る3種類のケーブルカーやトロッコ電車は、観光客にも人気です。頂上のエモッソン・ダムからは、夏には数時間のハイキングで、恐竜の足跡の化石を見に行く事もできるそうです。


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工事用のケーブルカーやモノレールを改造した観光ルートはいずれも恐ろしいほどの勾配!トロッコ列車ももちろん狭軌。下の直線がMC鉄道。

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エモッソンダムの長い堰堤。向こうはフランスの山々。                 頂上には恐竜のモニュメントが・・・。

下の写真は、標高1100mあたりを走るMC鉄道の車窓から、標高1961mのダムの堰堤を見上げたところです(中央の逆三角のグレイの壁が,上の図の左手のダムです)。
これが地震国日本だったらと想像すると、身が竦む思いです

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乗っている電車が走っているのは今フランス領。ダムはこのようにフランス側に口を向けています。



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● スイスの文化歴史街道ViaStoria -9

■ ViaCookトマスクックの道 -5  シャモニーへ

ジュネーブをあとにトマスクックのツアーが向かったのは,モンブランの麓のシャモニー。現代でも全く同じルートがポピュラーで、直通バスなら1時間半で着きますが、当時は馬車で13時間, ところどころ徒歩と書かれています。

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お饅頭のようなヨーロッパ最高峰モンブラン4810m                 モンブランを見上げる最初の登頂者バルマとスポンサーのソシュール

シャモニーとモンブランが、スイスにあると誤解する人は,実はとっても多いのです。でも残念ですがこれはフランス領にあり、ジュネーブはその表玄関に過ぎません。

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3842mのエギュ・ド.ミディまで登る空中ケーブルの発着駅もすっかり新しく模様替え。

さて,ジュネーブを発つ時、トマスクックのツアーは、大きな荷物は別送品として、直接インターラーケンを送ったと書かれています。これは,現代でも引き継がれているすぐれもののアイデアです。
スイスでは、ライゼゲペックという、昔,日本でもあったチッキのシステムが今でも生きていて、鉄道や郵便バスの切符を買えば、そのルートは荷物を別送することができるのです。途中荷物が邪魔になる旅行者にはとても便利なシステムです。150年前に、こんなことを思いついたトマスクックは、やはり旅行術の天才と呼べるのかもしれません。


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スイスからシャモニーにへ行く逆ルート。スイス南西端のマルチニーからこんな可愛い電車に乗り、シャトラールで国境を越えて、アルジャンチエール経由シャモニーに入るルートは、山あり谷ありの絶景の連続です。トマスクックの一行は、このコースを逆に旅しました。


● スイスの文化歴史街道ViaStoria -8

■ViaCook トマスクックの道−4

トマスクックの世界初のパッケージ旅行団体が訪れたスイスのジュネーブ。そこで日曜ににあたった彼らの行動の中心は、教会の礼拝だったと記されています。

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「宗教改革の碑」。高さは約5メートル。左から2人目がジャン・カルヴァン(建造は1909年)

ジュネーブは,カルヴァン率いる宗教改革の中心地。北のルターの改革に続いて、1536年にはプロテスタントに改宗していて、「新教のローマ」と呼ばれていました。すでにローマカトリックと訣別していた英国民や,他の新教徒たちの新しい巡礼先でもあったようです。その中心は、同じくプロテスタントに改宗して中がサッパリしたサンピエール大聖堂。器はカトリックの大聖堂をそのままに、壮大な雰囲気です。ここにはカルヴァンが使ったという,「カルヴァンの椅子」がいまも置かれています。隣にはカルヴァンが説教したという「カルヴァン講堂」があり、ちかくには,ジュネーブ大学の前身といわれる「コレージュ・カルヴァン」もあります。これらはすべて旧市街という小高い丘に集中していて、曲がりくねった小路でつながれ、現代の今でも、中世に引き戻されるような不思議な雰囲気です。
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ジュネーブの旧市街                      毎年12月に旧市街で開かれる「エスカラード」の祭り。400年以上の伝統を持つ。

さて、おなじくジュネーブで有名なのが『花時計』。こちらも作られたのは20世紀になってからなので、トマスクック旅行のご一行様は見ていませんが、この直径直径5メートル、秒針だけで,世界一長い2.5mという花時計が置かれているのは,「英国公園」の傍らです。スイスのみならず、ヨーロッパの各地に、「英国海岸」,「英国教会」,「英国公園」などが置かれているのは、当時、如何に英国人がヨーロッパ大陸を旅して回ったかを物語るものでしょう。

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花時計                            丘の上のサンピエール寺院。麓には有名時計ブランドの広告がビルに林立する。

写真はすべて(C)OTG

● スイスの文化歴史街道ViaStoria -7

■ ViaCook トマスクックの道 –3

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モンブラン橋側から見たジェット噴水                 旧市街の丘の上から見たところ。左手の一本目の橋がモンブラン橋。
 (c)OTG

さて、ジュネーブのシンボルは,高さ140メートルまで湖水を噴き上げるレマン湖のジェット噴水。このジェット噴水を、トマスクックのツアーグループは見たでしょうか??? 答えはブー。ジェット噴水が今の場所に設置されたのは、彼らの訪問から28年後の1891年でしたから。
一方、一行が参拝?したサンピエール寺院は、いまでも当時のままの姿です。


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サンピエール寺院の一画  (C)OTG

トマスクックの団体旅行が、パリ経由で大急ぎ、スイスで最初に到着したのがジュネーブ。このあたり、現代の旅行パターンと似ているような???
ジュネーブの名は、まるで首府と誤解されるほど有名な町ですが、スイスの首都はベルンです。ジュネーブはいまでもジュネーブ共和国と正式名称にも謳っているとおり、長く独立した小国で、ナポレオンの時代には、一時フランスの属国になり、スイス連邦に加盟した時はやっと1815年でしたから、トマスクックのご一行様がやってきたのは、スイス連邦の一員になって50年にも満たない,ホヤホヤの新州だったわけです。明治維新からたった53年前の連邦加盟、いまでもジュネーブは独立国に戻るべきだと運動する人もいるそうで、日本でいえばさしずめ、島津藩か長州藩あたりの心意気なのかも知れません???



       

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● スイスの文化歴史街道ViaStoria -6

■ ViaCook トマスクックの道 –2

世界初の,トマスクックによるスイスへのパック旅行はこんなものだったとのことです。

ツアー名: First conducted tour of Switzerland in 1863
         (現代版ならさしずめ、“ジュネーブ、シャモニー、インターラーケン、グリンデルワルト、リギ山、パリを         巡るスイス20日間の旅”)
ツアー催行社名: トマスクック社
対象顧客:    当時の英国一般市民


(ロンドン出発から、ツアーのなか日まで)
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今だったら,ユーロスターであっという間にくぐり抜けられるドーバー海峡ももちろん船の旅、一昼夜かかってパリ到着です。途中ルーアンに寄ったのは、ここがジャンヌ・ダルクが焚刑に処せられた町だったからでしょうか? パリに着いたと思ったら翌朝6時にはまた出発。途中馬車も使ってジュネーブへこれも一昼夜の旅?このルートは現代のTGVと同じかな?

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          この旅行中の7月13日、パリで撮ったツアー客の一部の写真。
          上記の旅程は、左から3番目のジェミナ・モレルさんの手記から書き起こしたものです。



● スイスの文化歴史街道ViaStoria -5

■ ViaCook トマスクックの道 –1

ViaStoriaの12のViaコースのうち、最初にご紹介するのは、トマスクックの道です。

トマスクックと言えば,すぐに思い出すのは、ヨーロッパの鉄道時刻表でしょうか?
かつてはトマスクックのトラベラースチェック、オリエント急行の豪華車両など、トマスクックの名は近代旅行の代名詞のようなものでした。
彼こそ、いまは普通になっている一般公募のパッケージツアーの元祖。1863年,いまから150年前のトマスクックのヨーロッパ旅行は実にスイスが主要な目的地でした。

ViaStoriaでは、実際にこのツアーに参加した女性のメモをもとに、150年前のツアーを再現しています。


1863年、世界初の公募によって実施されたトマスクックのスイスパッケージ旅行のルート図
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トマスクックのパック旅行の目的地の中には、150年経った今でも、人気の高いデスティネーションが数多く含まれているのが見えます。



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スイスとのおつきあいは、スイス政府観光局から始まって、もうかれこれ40年。まだまだ奥深いスイスの魅力を追いかけています。hpもどうぞご覧下さい。
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