● スイスの文化歴史街道ViaStoria - 15

■ トマスクックの道ViaCook - ゲンミ峠の頂上へ

 断崖のジグザク道を辿ってやっと頂上到達!そこで彼らが見たのは、目の前に広がる大平原とどこまでも続く碧い湖。まるで棚の上に載せられた気分だったでしょう。ここから延々、カンデルシュテーグへ4時間のハイキングとなります。
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ゲンミ峠の頂上地点。黄色のハイキング標識によると、あのジグザグ道を下って麓のロイカーバードまで、1時間20分ですと? ウッソーでしょう!



 頂上の奥の眼下に広がる碧い湖,ダウベンゼーのほとりでは、夏の間沢山の羊が飼われていて、9月に羊祭りが開かれます。これは夏の間塩分が不足する羊達のために塩を与える行事でもあるのですが、人間はこれを口実に,夏の終わりを惜しんで一日この草原で,飲めや歌えやの大宴会を開くのです。

羊祭り+5_convert_20130320111556 羊祭り+7_convert_20130320111635 ダウベンゼー。右手にハイキング路がつけられている。            11時半の合図とともに、羊の大群が丘の上からドドドーッと駆け下りてくる。

羊祭り+3_convert_20130320111534 羊祭り+6JPG_convert_20130320111615  羊に取り囲まれた人間達。                     アルプホルンに旗回し、ダンスにおいしいラクレットにワインと,終日盛り上がる。









 

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●番外

私事ながら・・・
2年近くかけて翻訳していた本がやっと発刊になりました。
エティエンヌ・バリリエ著、『ピアニスト』、アルファベータ社 定価1995円


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2人の音楽評論家が、ひとりの美人中国人ピアニストに対する賛否両論の批評を、ブログとメールのやりとりで戦わせるという手法で書かれたこの小説は、登場人物に実際メールしたくなるような、不思議な臨場感を持っています。この小説のモデルは、実在の中国のピアニスト、ユジャ・ワンです。弱冠26才ですが日本での人気も高く、4月下旬には、トッパンホールとサントリーホールでコンサートを行います。

翻訳しながら学んだのは、ユニークな手法や音楽関係の知識より、西欧式の議論の仕方でした。日本式のウエットな論法ではとても太刀打ちできません。また,日本人には漢学の素養が知らず知らずに身についているように、西欧人にはギリシャ・ローマの哲学が血と肉になっていること、これは血筋は争えないというでしょうか。この翻訳は、まさしくこの血筋を一本にまとめる苦労でした。成功しているかどうか、これからはみなさまのご批判を伺う番です。

本の内容をご紹介する代わりに、下記に「あとがき」の一部を掲載しました。ご興味のある方は、どうかご一読の上、よろしければご購入ください。 また、出版社のホームページhttp://www.alphabeta-cj.co.jp/music/music023.htmlで、紹介をご覧になれますし、AMAZONでも注文できます。 もちろんこのブログ経由でお申し込み頂ければ,不肖、サインをしてお送りいたします

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訳者あとがき(抜粋)

 本書は、2010年にスイスのゾエ社から発刊された、『Piano chinois』(Duel autour d’un récital)を仏語より翻訳したものである。著者のエティエンヌ・バリリエは、スイスのフランス語圏を代表する作家・評論家で、2012年には来日講演もしている。ヒロインのメイ・ジンのモデルは、1987年北京生まれ、アメリカ育ちのピアニスト、ユジャ・ワンで、西欧諸国はもちろん日本でも数々の公演を行っている。

 日本、韓国、中国の音楽家たちが、西欧の音楽コンクールで上位を占めるニュースが多く伝えられるようになったのがいつからか、私は正確には知らない。しかし、日本の指揮者や演奏家がどこどこのコンクールで優勝・入賞したなどの情報が、一般のニュースにまじって、毎年のようにまた非常に誇らしげに報道されつづけているのは周知の事実である。
 それは活躍の場が限られている東洋から、世界レベルのアジアの演奏家が西欧の音楽業界に参入していくことをも意味している。つまりおそらく西欧では、平たい顔をした、髪の黒い演奏家たちが、我われ日本人が西欧の音楽家を目撃する以上に、いわば目立った存在になっているだろうということは想像に難くない。
 こうしたアジア人の、それも自分たち西欧人以上に優れた演奏家を見るとき、彼らは一体どういう感慨をもつのだろうか? 明治以来、西欧至上主義が蔓延してきた日本で、我われが西欧人を崇拝の眼差しで見るのとはずいぶん違うのではないだろうか?
 
 日本では何故、音楽といえば即、西洋音楽を指すのだろうか? 邦楽は、日本人にとって西欧の音楽と対等の位置を占める芸術だろうか? 東日本大震災で被災した人々の心を慰めたのは、必ずしも日本の伝統音楽ではなく、外国から多く訪れた西欧音楽のチャリティー・コンサートや、破壊された校舎で聞いたオルガンの響きだったのはなぜなのか?
 そうしてなによりもまず、こうした疑問は何故、日本側からは提起されないのだろうか?この本は、これらに答えを出すものではない。むしろ、答えはないと承知の上で書かれた本ともいえよう。
 
                                

● スイスの文化歴史街道ViaStoria - 14

■トマスクックの旅ViaCook - ゲンミ峠登攀

ゲンミ_convert_20130313140133 トマスクックの一行が登ったゲンミ峠(C)ViaStoria

空中ケーブルなどなかった150年前のこと、トマスクックの一行は、この目の眩むような岩壁をジグザグに登ったのでした。でも良く見ると、なんと整然と道がつけられていることでしょう。最後は,岩をくぐるようにして頂上に出ることがわかります。
現代でも、新鮮な草を食べに高地へ誘導される羊や牛がこの道を登り下りします。ロイカーバードの温泉街は、写真左下の道のさらに先です。

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● スイスの文化歴史街道ViaStoria - 13

■トマスクックの旅ViaCook- 温泉の村ロイカーバードへ

2つコブの丘の町シオンをあとに一行が向かったのは,現代でも温泉で名高いロイカーバード。ローヌの谷のロイクの村から、急峻な山道をたどって、馬車の旅でした。現代ではこのルートにはバスが通っています。

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ロイカーバード温泉の中心の「アルペンテルム」。2つのホテルに直結していますが、外部からの利用も可能

上下の2枚の写真の豪華な建物は、当時はもちろん影も形もなかった二つの温泉センターです。日本の温泉宿とは大いに趣が違い、混浴で水着をつけて入ります。ここの温泉は古くから有名で、ゲーテも訪れたけれど、ノミが多くて閉口、早々に退散したそうです。                        
ゲーテの宿_convert_20130312095701 1994年現在の「ハウス・ゲーテ」


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ロイカーバードの市民温泉ブルガーバード。

背景の壁のような山の頂上左手に小さい白い点のようなものが見えますが、これが麓から登る空中ケーブの終点駅です。当時は勿論この空中ケーブルはありませんでしたから、
一行はなんとこの断崖絶壁を足でジグザグに登ったのです!




● スイスの文化歴史街道ViaStoria - 12

■ トマスクックの道ViaCook-8 マルチニーからシオンへ

マルチニーでは当時は発掘も進んでおらず,美術館も存在以前だったせいか、トマスクックの一行はここには泊まらずにそのまま、この地方最大の都市シオンに向かっています。

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鉄道の車窓からは2つの小山がはっきりと見える。南向きの斜面にはブドウの樹が整然を植えられている。

さてスイスで2番目に大きいヴァレー州の首都であるシオンは、写真のように2つコブの丘の町。丘のひとつにはヴァレール教会があり、世界最古の演奏可能なパイプオルガンがあります。もうひとつのトゥルビヨンの丘の上は廃墟です。司教区がおかれた古い宗教的な町で、周辺のブドウ畑から生産されるワインのスイス一の集散地でもあります。


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トゥルビヨンの丘をさらに上のブドウ畑から眺めたところ。左手の白濁した川は、アルプスから地中海へ注ぐローヌ川。そのすぐ右に現代の鉄道路線が見える。

この旅行の手記を書いたモレル女史の記述によると、マルチニーからシオンへは,3年前に開通したばかりの鉄道に乗ったと書かれています。全区間だったのかどうか不明ですが、スイスに鉄道が最初に開通したのは1847年で、北東部のチューリヒとバーデンを結ぶ47キロの区間でした。それから15年近くを経た1863年にすでに、部分的にもこんな田舎に鉄道が開通していたとは驚きですね。

このブログ記事は、ViaStoriaの資料をもとに書いていますが、その原本はモレル女史の旅行記「The History of Tourism, Thomas Cook and the Origins of Leisure Travel」のようです。詳しい確認をしたいと思ってAMAZONで検索したところ、¥94,625.-もするので、図書館で探してみることにしました。区の図書館やJTBの旅の図書館では見つからず、大学図書館へ行く必要がありそうです

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ハイジおばさん

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スイスとのおつきあいは、スイス政府観光局から始まって、もうかれこれ40年。まだまだ奥深いスイスの魅力を追いかけています。hpもどうぞご覧下さい。
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