[365]閑話休題−3
■スイスの国民投票〜〜〜「ベーシックインカム」
ゴッタルトトンネルの開通とほぼ同時に、もう一つスイスのニュースが日本の新聞を賑わせた。お得意の国民投票である。日本ではかつて経験のない国民投票は、スイスでは日常茶飯事。彼らに言わせればうんざりだ。しかし今回は、スイス国民も大いに興奮し、ニュースは日本でも大きく取り上げられた。テーマは、国民一人当たり月額約27万円を支給するという「ベーシックインカム」制度。
「誰もが生活の心配をせずに自己実現に挑戦出来るようになる」という、夢のような話だ。
しかしこれは大差で否決された。理想の国の理想の迷走???

スイスの連邦議会
再びスイスの友人の意見を聞くと、一応反対の投票をしたという。理由は、報酬は正当な労働をもって購われるべきであるという至極もっともなご意見。しかし新聞報道などを見ると、推進派は、人工知能やロボット技術で多くの雇用が失われる将来への警鐘として、未来志向の啓蒙活動として大きな意味があったと自負しているようだ。
さて東京都より人口の少ないスイス連邦、世界のお手本となれるかどうか? すくなくとも知事が汚職できる権限が連邦政府にはないのは、日本と上下関係が丁度逆なのだ。
ゴッタルトトンネルの開通とほぼ同時に、もう一つスイスのニュースが日本の新聞を賑わせた。お得意の国民投票である。日本ではかつて経験のない国民投票は、スイスでは日常茶飯事。彼らに言わせればうんざりだ。しかし今回は、スイス国民も大いに興奮し、ニュースは日本でも大きく取り上げられた。テーマは、国民一人当たり月額約27万円を支給するという「ベーシックインカム」制度。
「誰もが生活の心配をせずに自己実現に挑戦出来るようになる」という、夢のような話だ。
しかしこれは大差で否決された。理想の国の理想の迷走???

スイスの連邦議会
再びスイスの友人の意見を聞くと、一応反対の投票をしたという。理由は、報酬は正当な労働をもって購われるべきであるという至極もっともなご意見。しかし新聞報道などを見ると、推進派は、人工知能やロボット技術で多くの雇用が失われる将来への警鐘として、未来志向の啓蒙活動として大きな意味があったと自負しているようだ。
さて東京都より人口の少ないスイス連邦、世界のお手本となれるかどうか? すくなくとも知事が汚職できる権限が連邦政府にはないのは、日本と上下関係が丁度逆なのだ。
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[363]閑話休題−1
■スイスに新ゴッタルトトンネル開通
青函トンネルを抜いて、世界最長の鉄道トンネル『新ゴッタルトトンネル』がスイスに開通したのは、3日前の2016年6月1日。日本のニュースでもちょこっと出た。全長57キロと言えば、スイスの国土の縦約1/3を地下にもぐっていることになる。

これではせっかくのスイスの美しい景色を見られないではないかと言う人もいるだろうが、ドイツとイタリアを結ぶ幹線を走るトラックから排出される温室効果ガスが排除できるメリットを優先、17年かけて完成した。従来の峠道や自動車トンネルも維持されるので、伝統の観光産業は、美味しい空気とともに保証されることになる。
このゴッタルトトンネルがあるゴッタルト峠。天下の難所であると同時に、スイス人にとっては心のよりどころでもある。第二次世界大戦当時、北のヒットラー、南のムッソリーニに挟まれた中立国スイスは、鉄壁の構えで防御した。その砦がゴッタルト峠の巨大な山塊である。時のスイス軍の将軍ギザンは、もしナチスが攻め入れば、このゴッタルト峠にある軍の要塞を爆破して防ぐと明言して中立を守り通した(『将軍アンリ・ギザン』原書房)。原書房の名が出たついでに、話題の舛添知事が、東京都民全員に配布した黄色い『東京防災』の小冊子のモデルとなっという、スイスの『民間防衛』の訳本も紹介しておこう。

このゴッタルト峠の東側から、あの名河「ライン川」が流れ出している。はじめはまたいで飛び越せるほどの幅だが、スイス東部、リヒテンシュタイン、ボーデン湖を貫いて、スイスのバーゼルでドイツ領に入り、最後の北海にでる。一方、前回ご紹介したローヌ氷河から流れ出るローヌ河は、このゴッタルト峠の西にあり、フランスを経て地中海に至る。まさにスイスはヨーロッパの屋根と呼ばれるに相応しく、その屋根を貫いて貫通した巨大な樋が新ゴッタルトトンネルである。
青函トンネルを抜いて、世界最長の鉄道トンネル『新ゴッタルトトンネル』がスイスに開通したのは、3日前の2016年6月1日。日本のニュースでもちょこっと出た。全長57キロと言えば、スイスの国土の縦約1/3を地下にもぐっていることになる。

これではせっかくのスイスの美しい景色を見られないではないかと言う人もいるだろうが、ドイツとイタリアを結ぶ幹線を走るトラックから排出される温室効果ガスが排除できるメリットを優先、17年かけて完成した。従来の峠道や自動車トンネルも維持されるので、伝統の観光産業は、美味しい空気とともに保証されることになる。
このゴッタルトトンネルがあるゴッタルト峠。天下の難所であると同時に、スイス人にとっては心のよりどころでもある。第二次世界大戦当時、北のヒットラー、南のムッソリーニに挟まれた中立国スイスは、鉄壁の構えで防御した。その砦がゴッタルト峠の巨大な山塊である。時のスイス軍の将軍ギザンは、もしナチスが攻め入れば、このゴッタルト峠にある軍の要塞を爆破して防ぐと明言して中立を守り通した(『将軍アンリ・ギザン』原書房)。原書房の名が出たついでに、話題の舛添知事が、東京都民全員に配布した黄色い『東京防災』の小冊子のモデルとなっという、スイスの『民間防衛』の訳本も紹介しておこう。


このゴッタルト峠の東側から、あの名河「ライン川」が流れ出している。はじめはまたいで飛び越せるほどの幅だが、スイス東部、リヒテンシュタイン、ボーデン湖を貫いて、スイスのバーゼルでドイツ領に入り、最後の北海にでる。一方、前回ご紹介したローヌ氷河から流れ出るローヌ河は、このゴッタルト峠の西にあり、フランスを経て地中海に至る。まさにスイスはヨーロッパの屋根と呼ばれるに相応しく、その屋根を貫いて貫通した巨大な樋が新ゴッタルトトンネルである。