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[403]『マルチナ・ヒンギス』(E.バリリエ著 1997年、鈴木光子訳)

1章(13):例外中の例外

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一種例外的なスポーツ選手が、我われの自由な発想を助けてくれる。
彼らは、精神と肉体における芸術家なのである。
彼らの勝ちたいという意志は、我々とは馴染まないものかもしれない。
 しかしその意欲は、彼らの単純でピュアな、よりよくやりたいという意志と切り離すことはできないのだ。
彼らの負けは失敗作で、インスピレーションの欠如そのものなのである。
彼らの勝ちこそ、サインする価値のある作品なのである。
 ステファン・エドバーグが、そのいくつかの最後の試合のとき、きまって観客席には、「ありがとう、ステファン」の横断幕が見られた。それは彼の数々の勝利と彼が得た賞金へ向けられたものではなく、彼が観客に与えてくれた喜びに対するもの、つまり彼のゲームへのものだったのである。
 ここにこそ真実の秘密がある。つまりスポーツの中には、遊びが存在するということである
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[402] 『マルチナ・ヒンギス』(E.バリリエ著、鈴木光子訳, 1997年刊)

1章(12):例外中の例外

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 いや、私は、マルチナ・ヒンギスが、「1996年のスイス人第1位」に選ばれたのが、間違いだとは思わない。残念なのは、それを確かめられないということだ。間違いなく言えるのは、観客層とは、または無意識の集団というものは、リッチさに、勝者に、若さに、そして力に軍配を挙げると決まっている。しかし我われは、社会共同体の一員である前に一人の人間である。我われの一人一人が、自分の中に、才能に対し、また芸術に対し、そして遊びに対して軍配を挙げたい欲望を持っている。我われの一人一人は自由であって、商業的な価値など投げ捨てたい欲望を秘めている。スポーツの勝利の背後に、自分の好きなように美の代償を見つけ、その目に見える証拠を確認し、力と金の世界が、無償で、行動のための行動、輝く肉体、純粋な完璧性へと変わる事に、無言の賞賛を捧げているのだ。
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ハイジおばさん

Author:ハイジおばさん
スイスとのおつきあいは、スイス政府観光局から始まって、もうかれこれ45年。まだまだ奥深いスイスの魅力を追いかけています。hpもどうぞご覧下さい。
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