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[398]『マルチナ・ヒンギス』(E.バリリエ著、鈴木光子訳, 1997年刊)

1章(8):例外中の例外

 彼女が実践するスポーツ、シリアスな方々の注意を引きそうもないこのスポーツは、テニスの美しさと重要性を説いてやまないあのナボコフを引き合いに出すまでもないとしても、このスポーツに関して、テニスのラケットは軽蔑するが、ヴァイオリンやハープの弦は愛してやまないと言って憚らない人々を私は信じない。例えスポーツが、巨万の富で腐らせ、変形させられるものであったとしても、それは基本的には無償のものである。それは芸術と同じく、遊びの表現である。ホモルーデンスは遊戯する自由な人間である。これがこの本を書く基本の精神である。 

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 無謀な試みだとおっしゃる声が聞こえるようだ。大真面目な方々の失笑を買うことだろう。彼らは、スポーツは遊びにはなり得ないし、ましてや無償の遊びなどではない、と言うだろう。ましてやアートだなんてとんでもない。それは勝つことへの渇望で台無しにされ、獲得することの誘惑に駆られて、腐敗している。テレビという魔物が、使い捨て同然の視聴者に、偽の価値を押し付けているのではないか?

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